技術情報・技術コラム

装置リプレースを全面サポート

基板リバースエンジニアリング

 産業機器業界では、長年稼働している生産ラインの装置が老朽化し、性能維持が困難になることが多発しています。本来であればメーカーに修理や部品交換を依頼するところ、「旧型のため対応不可」などとメーカー側が対応できずに断られるという状況が頻発しています。これらの古い装置は生産ラインの維持に不可欠である一方で、新たな設備に置き換えるとなると金額面や技術面などの様々な課題があるので、容易に入れ替えるすることもできないので、修理やリプレースは必須です。

 このような事態に陥る背景としては、人手不足という時代の流れもありますが、大手メーカー自体が対応できなくなったという事があります。その理由としては、大きく2つあります。

 1つ目は、これまで大手メーカーでは多くのエンジニアを抱え、ソフト・ハードともに社内のリソースを使って対応してきましたが、長引く不況や収益重視の経営、さらには公共案件での予算削減により、コアな技術以外はアウトソーシングしたり派遣社員を活用せざるを得なくなるという状況が続きました。結果として、大手メーカー自体が技術的な蓄積ができず、対応力が低下してしまっている側面があります。

 もう1つはコストの問題です。大手メーカー、特に上場をしている企業は利益を重視する必要があるので、ある程度の金額・台数が纏まらないと対応が困難となります。特に、古い設備の修理やリプレースなどは単発の発注になってしまうので、老朽化した設備でも何とか使用したいというユーザーは、メーカーのサポートがないまま、いつ停止するか分からない設備と付き合い続けなければなりません。
 そのような中、山勝電子工業へは、お客様から「古い産業機器を何とか修理して使いたい」「ソフト・ハード両面での改造に協力してほしい」といった要望が寄せられるようになりました。なぜなら我々は、一般的な中小の電子機器メーカーはリソースの問題からソフト面だけ、あるいはハード面だけなど一部分のニーズにしか対応できない会社が殆どですが、当社では双方が対応できる窓口も一本化できるという点において、お客様にとってメリットがあるからです。
 もちろん、メーカーではロットの少なさから対応を敬遠する案件でも、当社であれば対応は可能です。

ここで、当社がこれまで対応してきた装置リプレースの事例をご紹介いたします。装置リプレースは新規購入の予算が限られる上、装置を壊してしまう可能性もあるので非常にリスクの高いビジネスとなりますが、山勝電子工業は長年培ってきた技術力とノウハウを駆使し、ソフト・ハード両面から対応してきました。

装置ご相談内容対応内容
評価装置動作不具合の原因追及および対応依頼装置メーカーからサポートが得られずに困っており、当社で同型の基板ボードを設計できないかと相談。EPROMの書き換え(DIPタイプ)を装置停止期間に対応。
社内試験設備老朽化試験装置用基板類の追加製作非常に古い設備でありサポートも終了していたため、限られた図面資料や現物からの設計対応を行った。図面をもとに、基板・ケーブル・ケースの製作を実施。
恒温槽コントローラの故障同形式のコントローラをW/Wで探すも、既にEOLのため見つからなかった。そこで当社が過去に製造した恒温槽装置を代用することで対応。
温度槽、レートテーブルのコマンド変更、ソフト改修、ケーブル製作、メカ部品製作を対応。
制御機器基板設計製作業者が廃業。基板リバースエンジを行ってでも機器を使い続けたい。旧回路図(最終か分からず)と機能仕様を元に、現物を確認した上で、部品の代替え置き換えを含めて新回路図を作成。GALのプログラムの吸い出しと代替えへの書き込み対応(ライター・書き込み機も中古入手)。接続機器との動作デバッグのカット&トライの実施。基板リバースエンジニアリング(回路、実装基板作成、旧プログラムの吸い出しと新デバイスへの書き込み対応)

装置リプレースと一口に言っても、上記のように対応する領域は多岐に渡ります。
山勝電子工業では、様々な業界・装置の対応実績を積み重ねることで、老朽化した装置の再生というニッチな分野で、高度な技術力と顧客ニーズに応える柔軟性を武器に、更なる成長を目指していきます。

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