技術情報・技術コラム
基板リバースエンジニアリングにおけるエンジニアの苦労
基板リバースエンジニアリング
IoT機器
近年、産業界では旧世代の制御/計測基板をシステムごと最新型に刷新できない場合に、トラブル等が発生している基板だけを作り直す、リバースエンジニアリングの需要が増加しています。特に長年使われる産業プラントや防衛宇宙関連機器等の分野では顕著です。
しかし、この作業は多くの課題を抱えており、担当する技術者にとって苦労の多い仕事となっています。
その最大の要因は、対象となる基板の「素性」が不明なケースが多いことです。古いが故に設計者が不明であったり、当時の製造会社が倒産していたりすることは珍しくありません。また、基板に使用されている部品も古くなり、既に入手困難になっている場合もあります。このような状況では、代替部品を選定し、その部品に合わせて回路設計をやり直す必要があります。代替部品とはいっても、全く同じ特性の部品がないことが多いため、基板のリバースエンジニアリングは非常に難易度の高い作業になります。
さらに、当時の設計図書が現存しないことも多く、当時の設計の経緯や設計者の意図を理解することが困難です。これは、まるでパズルのピースが欠けた状態で全体像を把握しようとするようなものです。回路を一つ一つ丁寧に解析し、動作原理を推測していく地道な作業が求められます。
基板のリバースエンジニアリングはこれらの困難さに加えて、顧客の予算が厳しいケースが多いのも事実です。「古いものをそのまま再現してほしい」という要望に対し、上記の様々な制約を説明し、作業の必要性や工数を理解してもらう必要があります。限られた予算の中で最善の結果を出すためには、高度な技術力と交渉力や経験が求められるのです。
このように、旧世代基板のリバースエンジニアリングは、技術的な難易度が高く、情報不足や予算制約といった課題も多く、まさに「苦労の多い仕事」といえるでしょう。しかし、古いシステムを延命させ、産業インフラを支える重要な役割を担っていることもまた事実です。特に今日のような高度成長が望めない日本では、古いものを大事に使っていくということも、これからさらに求められてくるでしょう。
山勝電子工業は、基板のリバースエンジニアリングで、設備投資コストの低減、ASICからFPGAへの移管、新しい機能の搭載など、付加価値の高いサービスを提供しています。 部品選定・調達も一貫対応し、最適な代替部品を提案します。 基板の回路図や部品リスト、ガーバーデータがない場合でも、現物からデータを作成し、同等品を設計・製作します。 入手困難な部品の置き換えや、基板設計・製作委託先の廃業に伴う新規基板製作が不可になった場合など、お気軽にご相談ください。
山勝電子工業の基板リバースエンジニアリングは、皆様の工数を最小限に抑え、最適なソリューションを提供します。ぜひ、山勝電子工業に貴社の基板リバースエンジニアリングをお任せください。